【あんことの出会い】
社会人になって一人暮らしを始めた頃、家の近くに2坪ほどの小さな二重焼き屋がありました。
メニューは潔くあんことカスタードクリームのみ。小さなころはカスタードクリームの方が魅力的でおいしいと思っていたのに、ふたつを買って食べてみると、あんこの方がおいしいと思うようになっていました。23歳ごろです。
この二重焼きと出会った日から、あんこに惹かれ、自分で炊くたのしさを知り、いつしか珈琲時間のお供はあんこ菓子が定番となっていました。
【似たもの同士】
小豆と珈琲の生豆はなんだかとてもよく似ているなと思います。
どちらも小さな豆粒で愛らしいのですが、とても固く火を通さないと食べることができません。
できあがっていく過程も似ています。
小豆を炊いていると、ふくふくとやわらかい匂いにかわるタイミングが、小豆があんこへとかわるとき。
生豆を焼いていると、ふわふわと香ばしい匂いにかわるタイミングが、生豆が珈琲へとかわるとき。
余計な手は加えず、焦らずじっくり見守っていると、「そろそろできますよ」と豆たちが教えてくれます。
私はただ、この声を聞き逃さないように、背筋を伸ばして待っています。
同じ豆同士、似たもの同士。だからでしょうか、あんこと珈琲は味馴染みがいいのです。
水と火の力を借りて、お砂糖のみで炊く自家製のつぶあんとしろあん。
つぶあんは北海道産小豆と種子島産の粗糖で、しろあんは北海道産白インゲン豆と奄美諸島産の素焚糖で炊きます。
喫茶室では、炊いたあんこでモナカときせつのあんこ菓子をこさえてお出ししています。
定番のモナカは、つぶあんには塩ナッツ、しろあんにはドライフルーツを一緒に挟んで。
きせつのあんこ菓子には、旬の果物を添えて。
オンラインストアでは、時々あんこと最中セットを販売しております。
販売日時などはオンラインストアやホームページ、インスタグラムでお知らせしますのでご確認ください。